EV充電インフラにおける電圧降下の完全ガイド:レベル2・DC急速充電の設計実務
電気工事業者が知るべきレベル2およびDC急速EV充電器の回路設計。日本のJEAC規格との比較も解説。
電気自動車(EV)の普及が急速に進み、充電インフラへの需要が爆発的に増加しています。電気工事業者にとって、EV充電器の設置は成長市場を代表するものですが、顧客満足度を確保するために細心の注意を払う必要がある独自の電圧降下課題も伴います。本記事では、日本の内線規程(JEAC)とNEC規格を比較しながら、EV充電インフラにおける電圧降下の設計実務について詳しく解説します。
EV充電で電圧降下が重要な理由
EV充電器は連続負荷であり、長時間にわたって大電流を引き続けます。一般的な家電製品がオン・オフを繰り返すのとは異なり、レベル2充電器は夜間8〜12時間にわたって40〜80アンペアを連続的に引くことがあります。この連続運転により電圧降下の影響が増幅され、充電器は出力を落として動作し、充電時間が延長されるため、より速い充電を期待していた顧客の不満を招く可能性があります。
また、多くのEV充電器は配電盤から離れた車庫や駐車場に設置されるため、長い回路距離が生じ、電流容量ではなく電圧降下が設計の制御因子となります。日本では内線規程JEAC8001-2022により、電圧降下を2%以内(幹線+分岐回路)に抑えることが推奨されており、これはNECの5%基準よりも厳格です。
EV充電器の種類と電力要件
| タイプ | 電圧 | 電流 | 出力 | km/時間 |
|---|---|---|---|---|
| 普通充電(100V) | 100V | 12-15A | 1.2-1.5 kW | 5-8 |
| 普通充電(200V) | 200V | 15-30A | 3-6 kW | 15-25 |
| 普通充電(高出力) | 200V | 30-50A | 6-10 kW | 25-40 |
| 急速充電(CHAdeMO/CCS) | DC 400-500V | 100-350A | 50-150 kW | 200-600 |
日本では、CHAdeMOとCCS Combo2の両規格が使用されています。2024年以降、国内メーカーもCCS対応を進めており、設計時には将来の拡張性も考慮する必要があります。
日本とNECの電圧降下基準比較
電圧降下許容値の比較
- • 低圧配線:2%以下(推奨)
- • 電動機等の始動時:5%以下
- • 遠距離配線:特別考慮必要
- • 分岐回路:3%以下
- • フィーダー:3%以下
- • 総合(分岐+フィーダー):5%以下
住宅用EV充電器の設置例
日本の一般住宅では、200V単相30Aの専用回路が標準的です。以下に、異なる配線距離における電圧降下の計算例を示します。
例:30A 200V充電器の電圧降下
CV(銅)ケーブル使用時
| 配線長 | 5.5mm² | 8mm² | 14mm² |
|---|---|---|---|
| 15m | 1.47% | 0.97% | 0.56% |
| 30m | 2.95% | 1.94% | 1.12% |
| 45m | 4.42% | 2.91% | 1.68% |
| 60m | 5.90% | 3.88% | 2.24% |
表に示すように、30m以上の配線距離では5.5mm²ケーブルでは内線規程の2%基準を超えてしまいます。車庫が離れている場合は、より太いケーブルを選定する必要があります。
商業施設・集合住宅の充電設備
商業施設や集合住宅のEV充電設備は、複数の充電器、駐車場への長距離配線、負荷管理システムの必要性など、追加の課題があります。設計時の重要なポイント:
- 分電盤の配置:駐車場内または近くに分電盤を設置し、分岐回路を短く保つ。これにより電圧降下を最小限に抑えられます。
- 負荷管理システム:スマート充電器により容量を共有し、フィーダーのサイズ要件を削減。ピークカット制御も有効です。
- 将来拡張:初期設置だけでなく、予想される増設に対応できるフィーダーサイズを選定。EV普及率の増加を考慮します。
- 受電設備の確認:高圧受電の場合、変圧器容量や契約電力の増加が必要になる場合があります。
EV充電回路のサイジング
当社の電圧降下計算ツールを使用して、EV充電器設置に適切な導体サイズを決定してください。最適な充電性能を確保し、追加工事の発生を防ぎます。
電圧降下計算ツールを使用Start Calculating
Ready to apply these concepts to your project? Use our professional voltage drop calculator.
Open Calculator